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Land Cruiser 250

2023/08/02 ついにワールドプレミアでその全貌を表したLC250。皆さんはもうご覧になりましたか?  今から2年前の2021/08/02はLC300のワールドプレミアでした。


TikTokやらYoutubeやらで皆さん色々と情報をアップをしてくれているのですがなんだか視聴数稼ぎのありきたりの情報ばかりで全く響かないのでAPTCO的な目線でLC250についてご説明していきたいと思います。

私個人は正直な話ランドクルーザーという車は20代の頃にLC80のVANを買おうとした事があったくらいでそれ以降は全く興味の無い車でした。LC100やシグナスでV8エンジンにもちょっと惹かれたのですがどうせならアメリカのV8に乗りたいという気持ちが強かったです。周りに40に乗る友人もいましたし70クロカン野郎もいたのですがリジットアクスルのリーフスプリングの乗り心地がお世辞にも良いとは自分には思えませんでした。確かにトレイルやモーグル等のオフロードには特化していたのかもしれませんが自分はFORD BRONCOのXトラックに感銘を受けてしまったので以降ランドクルーザーに目が行くことはありませんでした。FJクルーザーが出た時は少し興味を持ちましたがその当時はV8モーターのP/Uトラック至上主義だった頃なので今になってセカンドカーで乗りたいという気持ちはあります。


自分にとってはそんなイメージだったLCシリーズですがLC250には非常に興味が高まっています。とりわけ今回LC250に興味を持ったのは北米で再販することが決まった事とプラットフォームがレクサスGXとLC300と共通になりボディサイズが大きくなりフレーム剛性が上がった事です。日本国内ではハイラックスやプラドが乗用車の中では大型なイメージの人が多いですがアメリカのフルサイズに慣れている人からすればミドルサイズという感覚の人が多いと思います。国内でのフラッグシップはLC300だったので今回そのサイズと同じ約2m弱のボディ幅はアメリカのフルサイズと変わりません。長さはハイラックスよりも40cmほど短い5m弱でLC300と変わりませんのでちょっとショーティーなアメリカンSUVというサイズ感だと思います。ちなみにセコイアはボディ幅2mのボディ長5.2mです。

先行してレクサスのGXが発表となった際に写真を見て驚きました。まさかあのレクサスがオフロード寄りのデザインで来るとは思ってもみなかったです。となればこれはランドクルーザーも相当なイメージチェンジで来るのだろうなと期待をしていました。自分の勝手な憶測は4RUNNER(ハイラックスサーフ)の日本再導入を期待していたのですがLC250がボディサイズを大型化してLC300シャーシを採用するとは考えてもみませんでした。

トヨタのリリースしている資料の中にあった今回のLC250のコンセプトが今のニーズにターゲットを絞っていてとても好感を持ちました。BIG TIRE/HIGH LIFTなんて大歓迎です。モジュラーフェンダーやセパレーテッドバンパーとか交換しやすい設計にしてくれるのは有り難い事です。個人的には"MODIFIABILITY"というキーワードが大変刺さりました。アジアンパシフィックモデル限定だとこんな感じにはならなかったのかも。やはり北米再販という流れがある事で今回のブラッシュアップに繋がったのではないかと勝手に想像してしまいました。今回の日本のデザイナー陣は非常に良いお仕事をして頂いた事に敬意を表します。


私評はこれくらいにして車両のご説明をしていきましょう。

LC250は2グレードが設定されているようで下が"LandCruiser"グレード

特徴的な丸目のLEDが"1958"グレードだそうです。

この2グレードには内外装や機能オプションの設定が異なって1958をベースにグレードアップしているのがLandCruiserグレードのようです。


LC70も発表になりましたね。これはエンスージアストには堪らないでしょう。


今回はあくまでLC250のインフォメーションなので話を戻します。


下のコンセプトデザイン画を見るとアドベンチャーライクなコンセプトである事がよく分かります。確かにプラドからLC250として大胆なイメージチェンジする訳ですね。


1958はJEEPやBRONCO、DIFENDERを彷彿させる感も否めませんがそこはトヨタの得意とするところ。ただしちょっと怖いのは日本のアクセサリーカタログのラインナップです。FJに然り、RAV4に然り日本の紙カタログには毎回ゲンナリさせられてしまうのでどうかLC250だけは本当の意味でイメージチェンジを期待したいです。まさかのエアロとかラインナップに無いことを祈るばかりです。


内装もかなり洗練されていますね。メーターやコンソールのレイアウトもそうですが今回はシート生地とかもすごく拘っていたようです。最近のインフォーメーションディスプレイってすごいんですね。全部モニターだもんな。壊れたら高そうですね・・・。


Vehicle Specについてご紹介しましょう。


全長 4,925mm(+100) 全幅 1,980mm(+95)全高 1,870mm(+20)

ホイールベース 2,850mm(+60) 数値はプロトタイプ、()内は従来型LC150との比較


トヨタセーフティセンス3.0を搭載


電動パワーステアリング(EPS)を採用、アシストじゃなくて電動パワステになりました。


国別のパワートレーン一覧は下記のとおり

日本はディーゼルとガソリンの2タイプの設定なんですね。本当は北米仕様のi-Force MAXが良かったなぁ。330PSに630N.mでトーイング能力は6000lbs(約2.7ton)V8のトラックと能力が同等とは恐れ入ります。日本仕様の数値が気になるところです。

ステアリングパドル付きの8speedトランスミッションでパワーカーブがラグ落ち無くフラット化していました。


シャーシに関しては前述のようにLC300とGXと共通のGA-Fプラットフォームを採用。

150やTACOMA、4RUNNERのフレーム剛性と比較してもクロスメンバーやメインフレームに部分的に超剛ハイテンを採用したりフレームやボディの溶接も新しい手法を用いたりシャーシ強度は従来モデルの+50%,向上しています。一昔前はFLEXYフレームと揶揄されていたシャーシがより堅牢に生まれ変わったのは喜ばしい事です。オフセット衝突でエンジンメンバーが捻れてしまったり、リアのしなりまくるCチャンネルフレームにがセットプレートを溶接してボックス化する必要も無くなるんですね。ハードオフローディングでフレームにクラックが入るという心配からも解放されます。


今回のLC250のこだわりの1つがホイールアーティキュレーションです。

ややハードなオフロードセクションやシチュエーションで起きるタイヤの浮き上がりをなるべく少なくして路面追従性を高める、もしくは接地した駆動輪でセクションをクリアするためのトラクション制御に力を入れているようです。センターデフロック、リアデフロック、マルチテレーンコントロール、SDM、AVSとオフロード走破のための制御に余念がありません。これは完全に北米ターゲットと言っても良いでしょう。実際に必要なシチュエーションがあるからでしょうね。オーバーランディングやBCA、トレイルクルーズなんて日本目線ではハードモードのオフローディングにしか見えないでしょうし。ハイラックスのGRスポーツには標準装備して欲しいものですね。


電子デバイスだけに限らず路面追従に不可欠なのはサスペンションのチューンナップも重要なファクターになります。てっきり自分の予想はKDSS(キネティックダイナミックサスペンションシステム)を採用してくるとばかり思っていたのですが新システムのSDM(スタビライザーw/ディスコネククションメカニズム)というフロントのスタビライザーの効き具合を電気的に制御する機構を採用したようです。

KDSSはハイドロリックで前後のスタビライザーに配管で繋げる複雑な構造だったのとSUVのソリッドアクスル&コイルスプリングの5リンクサスペンションはリーフと違ってコイルスプリングの自由長やショックのトラベル量によっては自由可動域が非常に大きくなるためフレクシーなスタビライザー制御よりもショックのリバウンドスピードをスローにしてバンプストップで制御すれば良いのになという印象です。欲を言えばセカンダリーにエアーショックを追加して・・・とまぁこれは市販車に要らないスペックですね。


LC250にはAVS(アダプティブバリアブルサスペンションシステム)というシステムが採用されていてシフトレンジL4/H4によってそれぞれ減衰力を調整できるそうです。

トヨタのAVSは昔のTEMSの次世代システムでアイシンが開発しているシステムです。専門資料を拝読しましたが昔のランドクルーザーのスカイフック理論が基礎となっており仕組みとしてはFOXのインターナルバイパスに近いものです。KINGで言えば2Tube Bypassですね。ショックピストンのゾーニングは無さそうなのでインターナルバイパスとは言えないのかもしれませんがリーザーブタンク無しのトリプルチューブ構造でセカンドシリンダーに装着された電動バルブでオイルフローを調整してダンピングフォースをコントロールする構造だと思います。ガス室はアウターシリンダーでセパレーターぽいのがあるけど定かでは有りません。

ショックワークは以下の様です。


FORD RAPTOR採用されているFOXのLIVE VALVEに似たようなイメージが分かりやすいかもしれません。これはバイパス構造に外部リザーバー付きなので基本構造が異なりますが要はバルブによるオイルの流れをボディマネジメントデバイスで制御して速度やテレーンコンディションに合わせてダンピングフォースをマネージメントするシステムです。

少々解説がマニアック過ぎましたかね・・・要はこのAVSのロングストロークバージョンとSDMを作用させることでモーグルバーンでの走破性を向上させる結果になったのだと思います。ホイールアーティキュレーションに関して言うなら従来モデルよりも20%向上しているそうです。


あくまで自分の心象ですが従来のトヨタの4WDはアクスルシャフトのCVアングルの限界値を加味してフロントデフダウン等の対策は必須ですしリフトアップをするとキャスターキャンバーに弊害が出ていました。LC250はリフトアップを前提としたサスペンションジオメトリーを考慮してFORDの様なMODIFIABILITYを期待せずにはいられません。北米再販というのがここでも大きく関わっていて様々なアフターパーツがラインナップされるのではないかと期待をしてしまいます。そういうAPTCO的な視野で見ると今回採用されたコイルオーバーのトラベル量やアッパーロワーアームの動き(ジオメトリー)が大変気になるところなのです。


AVS付きのショックアブソーバーだと社外に交換不可なのかとか警告灯が点いちゃうとか気になる点はたくさんあります。SDMの構造もまだよくわかっていないので対応パーツが出るのかも気になりますが何せ北米再販という事でアメリカ人のクラフトマンシップに他力本願したいと思います。


以上の様な興味深いLC250は駐車場問題がクリアできる方には是非お勧めしたい1台です。

外装やサスペンションのモディファイはもちろんですが特に1958グレードはカスタムし甲斐がありそうで個人的に刺さっています。カレントモデルのBRONCOも捨て難いのですがサイズ感はLC250に惹かれてしまいます。

ベースグレード買って4RUNNERで実現したかったカスタムを全部ぶつけてやりたいですね。もちろんオトナの範疇で。新しいWHEELとの相性も良さそうなので来年までじっくり妄想したいと思います。


ということで私情入り乱れたAPTCO的なLC250のイントロダクションでした。





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